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ハリセンボンの結核報道に見る、この感染症離れの深刻度を憂う

笑い人気コンビ「ハリセンボン」の箕輪はるかさんが、結核にかかって入院したことが報道され、様々な反響を呼んでいる。新聞などによれば、せきの症状は既に昨年からあり、今月に入って受診したところ肺結核と診断されたという。所属する事務所の発表では、今後2ヶ月の入院が必要だというが、完治するかどうかには言明していない。

ほとんどの国民が知らないことだが、実は、日本では決して結核は、過去の、根治された感染症ではない。

確かに結核は、昭和30年代、40年代までは患者数も多く国民病とさえいわれ、日本人の死亡原因のトップでもあった。しかし、行政も医療関係者もその対策に力を入れ、また、国民の関心も高かったことから、学校や職場での結核健康診断(年齢によって内容は異なる)の実施、効果的な抗結核薬の発明により、患者数は急激に減少するとともに、「致命的」な病から「治る」病へと変化した。
何よりも大きかったのが、リハンプシンという抗結核薬の発明で、結核の原因となる結核菌を殺し、体外への菌の排出を短期間で止めるため、新たな感染を防ぐことができるようになった。

だが、結核を完全に根絶するのは難しい。

結核は、飛沫(ひまつ)感染により、前述の結核菌という細菌が体内に入ることによって感染する病気であるが、感染しても必ず発病するとは限らない。つまり結核患者と接触しても、自分の菌に対する抵抗力が強ければ発病しないこともある。その場合は感染者、あるいは保菌者ということになる。

実は、この「感染者」の存在が結核根絶を困難にしているのである。

この結核感染者が、栄養と休養のバランスがとれた健康な生活を維持できれば問題ないが、何らかの原因で体調を大きく崩したような場合、体内に潜んでいた結核菌が活動を再開し、その時点になって結核発病ということが現実に起こっているのである。
したがって、結核が大流行していた時期が、まださほど遠い昔ではない日本では、結核感染者はまだまだ多いと考えて、その備えをすべきであっただろう。

しかし、喉もと過ぎれば何とやらで、死なないで治る病気といわれるようになると、結核が絶滅していないにもかかわらず、結核離れという悲劇が始まってしまった。

まず、行政は患者の絶対数が減ると、どうしてもAIDSや新型インフルエンザに対策の重点が移り、結核対策で重要な「正しい予防知識の広報」がおろそかになってしまっていないか。毎年9月に「結核予防週間」と称して、啓発のキャンペーン活動が行われているのをどれだけの人が知っているだろうか。

医師の養成機関である医学部でも、最近では結核のことを取り扱わないところが多いそうである。事実であれば、直接患者を扱うのは医師だけに心配になる。

一番深刻なのは、我々国民の意識であろう。

ほとんどの人は、冒頭に書いたハリセンボンの記事によって、誰もが結核という病気に今もかかる可能性がある、ということを始めて知ったと思う。
その意味では、本人には大変気の毒であるが、注目を集めたという点で彼女は大きな貢献をした。そして彼女の年齢から推測して彼女自身が最初の発病者ではなく、他の発病者から感染した可能性が高い。いずれにしても、感染症において、患者、発病者を犯人扱いするのは大きな間違いであることも合わせて述べておきたい。

さらに、現在の経済不況の中で、失業者の増加や労働条件の悪化により、結核発病者が知らない間に増加し、過去の悲劇が繰りかえされないよう、今後十分な対策が早期に実施されることを望む。

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受信: 2009年6月26日 (金) 06時01分

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